他の代表チームでプレーする選手たち
2018年ワールドカップはフランスの優勝で幕を閉じた。この大会で注目されたことがある。それは生まれ育った国以外の代表チームでプレーする選手たちだ。
それを象徴する試合になったのが、ポルトガル代表vsモロッコ代表だ。次の写真を見ていただきたい。
これはフリーキックのシーンだ。なんとこの写真に写っている7人中6人の選手が他の国出身者だったのだ。
なぜこの様なことが起こるのか? それはFIFAの規定による。FIFAの規定によれば選手は明確な繋がり(両親や祖父母がその国の出身等)があれば、例えその国で生まれ育っていなくてもその国の代表選手としてプレーできるのだ。
国外出身プレーヤーの全体に占める割合
では、ロシアワールドカップで国外出身の代表プレーヤーは一体どの位いたのだろうか?
2018年ワールドカップで出生地以外の国の代表としてプレーした選手の数はなんと82選手にもなる。トータルの登録選手数が736人なので、実に全体の11%も占めることになる。単純計算で9選手に1選手は、その国以外の出身ということなる。
フランスは突出した存在
その中で特に注目すべき国がある。それはフランスだ。ワールドカップ優勝国であるフランスの出身者は自国の代表チームだけでなく、実は多くの他の代表チームにもいたのだ。
フランス出身でありながら、フランス以外の代表チームとしてプレーした選手の数は実に29人にも及ぶ。
これにフランス出身でフランス代表としてプレーした選手の数21を足すと、なんとロシアワールドカップでプレーしたフランス出身者は50人にもなる。見方を変えるとフランス出身者だけでワールドカップに出られるレベルのチームが2つ軽く作れることになる。
次第点のブラジルが28選手(ブラジル代表を選択が23選手、それ以外の国を選択が5選手)なのでその差は歴然である。
このような現象は今に始まったことではない。実はフランスは直近のワールドカップ4大会で最も多くの選手とコーチを輩出している国なのである。次のデータを見ていただこう。
フランス代表が輩出する選手・コーチの数は2002年日韓ワールドカップから右肩上がり。特に2006年ドイツワールドカップ以降は目覚しい。他の国々との間に大きな差が生じている。
なぜフランスだけがこんなに突出した存在なのか? こんなにワールドカップに優秀な人材を送り出せるのか? そこには移民文化、経済的な事情、歴史的な背景があった。次回は、そのフランスの実情をさらに詳しくお伝えしていきたい。