2018年8月、世界のサッカー界に衝撃的なニュースが走った。本田圭佑がカンボジア代表の監督に就任したのだ。本田はまだ現役の選手。しかも、直前にメルボルン・ヴィクトリーへの加入を発表したばかりだった。
オーストラリアでリーグ戦を戦い、カンボジア代表を指揮する。そのようなことは可能なのか? 9月10日にカンボジアで行われたカンボジア代表vsマレーシア代表。ホームで1−3と敗れたものの、そこには確かに本田の姿があった。ユニフォームではなく、黒いシャツを着た監督姿の本田が確かにそこにいた。
本田が指揮するカンボジア代表とは一体どのようなチームなのか? 謎が多いだけに気になるところだ。今回はカンボジア代表の今までの実績や中心選手の情報を探っていきたい。
カンボジア代表の基本情報
FIFAランク
最新版(2018年9月発表)のFIFAランクでカンボジアは169位(全210チーム中)。
ワールドカップ
出場経験なし。2010,14年は予選第1ラウンド敗退。2018年は予選第2ラウンド敗退。全体的に見ると、予選不参加の時期が圧倒的に多い。
アジアカップ
出場1回(1972年大会)。その時の成績は4位。しかし、この時はクメール共和国時代でアジアカップ出場チームも6チームと今と大きく異なる環境だった。
アジアカップ2019は予選敗退。それ以前の大会はワールドカップ予選同様、不参加が目立つ。
カンボジア代表選手
カンボジア代表選手を見てみると圧倒的に国内チームに所属する選手が多い。中には数人、タイでプレーする選手もいる。
その中で国際経験のある選手を見つけたので、3人ピックアップした。
コク・ボリス(Kok Boris)
フランス北部のナンシーで生まれる。2012年にカンボジアのチームに移籍するまでは、フランスでプレーしていた。カンボジアでは珍しい国際的なプレイヤーだ。2015年に代表デビュー。
チャン・ワタナカ(Chan Vathanaka)
2014シーズンのカンボジア・リーグで年間最優秀選手賞を受賞。2017年にJ3の藤枝MYFCに期限付き移籍。当時、日本でも話題となった。だが、出場時間は1試合(3分だけ)と寂しいものだった。その後、マレーシアのチームでプレーし、現在は国内でプレーしている。
チエリー・ビン(Thierry Chantha Bin)
コク・ボリス同様、フランスで生まれ育ち、フランスでキャリアをスタートされる。なんと彼はフランスU17代表経験者である。フランスを離れた後は、カンボジア、タイでプレー。現在はマレーシアでプレーしている。
本田とカンボジアの関係
本田圭佑がカンボジア代表と接点を持ったのは今回が初めてではない。実は、選手として以前対戦していたのだ。それは2018年W杯アジア2次予選でのこと。その際の結果は下記の通り。
日付 | スコア | 得点者 | 会場 |
2015年9月3日 | 日本 3−0 カンボジア | 本田、吉田、香川 | 埼玉 |
2015年11月17日 | カンボジア 0−2 日本 | プンゴール、本田 | プノンペン |
特筆すべきは得点者だ。2試合共に本田がゴールを挙げている。
また、カンボジアのホームゲームに関してはカンボジア代表は前半を0−0で終える健闘を見せた。
カンボジアのホームゲームは違う意味でも日本のサッカーファンに衝撃を与えた。それまでカンボジアのサッカー情報は皆無に近かった。だが、テレビの向こうには3万人で埋め尽くされたスタジアムがあった。カンボジアが攻める度に起こる大声援。カンボジアでこんなにもサッカーは盛り上がっているのか。そう思った方も多かっただろう。
こちらがその時の映像
2015年11月17日 カンボジア代表vs日本代表
本田の熱意とカンボジアの熱狂が良い化学反応を起こせば、今まで見たことのないカンボジア代表が見られるかもしれない。そうなるとアジアのサッカーレベルも底上げされるだろう。今後の活躍が楽しみだ。