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コパ・アメリカ|招待枠・日本代表批判に思うこと

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コパ・アメリカ招待枠批判

25日に日本代表はコパ・アメリカC組第3戦でエクアドル代表と対戦し1−1の引き分けに終わった。

この結果、日本代表は2分1敗で決勝トーナメント進出はならず、大会を去ることになった。

A代表選手の拘束力がないため、今大会は若手中心でコパ・アメリカに挑んだ日本代表。

その点を考えると、ウルグアイ、エクアドルのA代表相手に真剣勝負で引き分けたという事実は上出来だ。

しかし、フルメンバーで挑まなかった日本代表に対して南米各国からは批判が相次いでいる。

パラグアイ代表とベネズエラ代表監督に至っては、招待国そのものに対して疑問を呈している。

コパ・アメリカ招待枠とは?

今回は、そのコパ・アメリカ招待枠について色々と語りたいのだが、まず招待枠とはなんぞやということを説明させて頂きたい。

招待国とは93年大会から導入されたコパ・アメリカ独自のシステム。

他の地域からチームを招待し、相互発展するのが狙いだ。また、コパ・アメリカ(南米選手権)の認知度向上にも繋がると考えられている。

今までの招待国枠は下記の通り。

全て2チームずつ招待されている。2020年大会に関してはオーストラリアとカタールの招待が既に決まっている。

開催年 開催国 招待国
1993 エクアドル メキシコ、アメリカ
1995 ウルグアイ メキシコ、アメリカ
1997 ボリビア メキシコ、コスタリカ
1999 パラグアイ メキシコ、日本
2001 コロンビア メキシコ、コスタリカ、ホンジュラス
2004 ペルー メキシコ、コスタリカ
2007 ベネズエラ メキシコ、アメリカ
2011 アルゼンチン メキシコ、コスタリカ(日本辞退により代替)
2015 チリ メキシコ、ジャマイカ
2019 ブラジル 日本、カタール
2020 アルゼンチン
コロンビア
オーストラリア、カタール

 

招待枠に見る利権

前述のように招待枠は相互発展、及びコパ・アメリカ認知度向上が狙いだ。

しかし、普通に考えてこれはどう見てもおかしなシステムだ。

もし、アジアカップにパラグアイ代表やガーナ代表が参加したらどうなるだろうか? それはもう純粋なアジアカップとは言えないだろう。

ここで思うのは「相互発展」「コパ・アメリカの認知度向上」は単なる建前ではないかということだ。

結局は、自分たちにとって都合の良いように招待枠を設定しているに過ぎないと思う。

その理由は下記の3点からだ。

数合わせ

まず第一に考えられるのが数合わせだ。

南米のチームは全部で10チーム。

10チームとなるとグループリーグの数の配分が難しい。

5チーム×2グループだと試合数が多くなる。 4チームにしたい場合、2チーム余る。

そこで4チーム×3グループという組み合わせができるように、他の地域から2チームを呼んでいるのではないか?

そう、招待枠と言いつつも数合わせの意味合いも兼ねているのだ。

放映権

相互発展と言いつつも、CONMEBOL(南米サッカー連盟)の本当の狙いは放映権ではなかろうか?

今大会、日本では日本代表が出場するにも関わらず、コパ・アメリカのテレビ中継はなかった。

DAZNで日本代表の試合が独占配信されるという異例の事態となった。

この背景には、試合の時間帯が日本時間の朝ということもあっただろう。

しかし、それ以上にCONMEBOLから提示された放映権があまりにも高額で話が折り合わなかったとも言われている。

そう考えると、ドル箱であるはずの日本を招待したのに放映権料をがっぽり獲得できなかったことは、CONMEBOLにとっては誤算だったかもしれない。

また、日本と同様に今回招待されたのがオイルマネーのあるカタールだった点も気になる。

カタールはアジアカップに優勝したが、コパ・アメリカ招待枠でオファーがあったのは大会前だった。

アジアカップ大会前と言えば、誰もカタールがアジアカップで優勝するなんて思っていなかった時期だ。

そう考えると、CONMEBOLが招待枠を導入する背景には放映権、つまりお金があると思われる。

因みに、カタール代表は2020年大会も招待枠での参加が既に決まっている。

自分達より弱い国

上記のコパ・アメリカ招待枠の一覧表を見て一つ気づくことがある。

それは、招待国はどれもレベル的に見て南米より劣っているチームなのだ。つまりは、優勝できないチームを選んでいるのではないか?

実際に招待枠で優勝国は今まで一度もない(メキシコは2度準優勝しているが……)。

日程の兼ね合いなどもあるだろうが、相互発展というならば招待枠でもっと強豪国を呼んでも良いのでないか?

例えば、ドイツやイタリアなどヨーロッパの強豪国だ。

極端な話、日本から南米に行くよりもポルトガルから南米へ行った方が近い。

もちろん、ヨーロッパネーションズリーグがあり現在、ヨーロッパの代表チームは呼びづらい。しかし、ここで言うのはそれ以前の話だ(93年大会からと言う意味で)。

99年大会で日本代表が招待枠で呼ばれた理由は、南米に移民した日系人が多かったからだと言われている。しかし、そう言う意味では南米はアジアよりもヨーロッパと比較にならないほど結びつきが強い。よくドイツ系、イタリア系移民と言う言葉を聞く程だ。

そうならない理由は、あることを恐れているからだろう。

それは、招待国が優勝することだ。

もし、南米選手権で南米以外のチームが優勝したら自分たちのアイデンティティが失われかねない。

アルゼンチン代表を破ったスペイン代表が南米選手権優勝。

これはどう考えてもおかしな状況だ。

そうならないように、程々強いが優勝は難しいだろうというチームを選んでいる気がしてならない。

以上のことをまとめるとこうなる。

招待枠は、大きな市場があり優勝の可能性が低いチーム。そして数合わせにもなる。

そう言えるのではないか?

そう考えると、招待枠で呼ばれて批判されるのも不条理な気がしてならない。

元々、招待枠という変わった制度がなければ、今回のような論争は起きなかったはずだ。

日本代表にも責任がある

では、今回、コパ・アメリカ招待枠の要請を受けた日本代表に非はないのか?

個人的には、結構あると思う。

コパ・アメリカは南米の人にとってプライドをかけた大会。

そんな大会に五輪中心のチームを送ってきたら怒られるに決まっている。

感覚的には、アジアカップに招待されたコートジボワール代表がフル代表ではなく五輪中心のチームで挑むようなものだと思う。そうなれば多くのアジアの人達は舐められていると思って不快な気持ちになるだろう。

本来ならば、事情を話して断るのがベストだったかもしれない。

A代表選手の拘束力がなかったのは前述の通りだが、それを分かった上で日本サッカー協会の対応にも問題があったと思う。

例えば、コパ・アメリカ直前に日本で行われたキリン・チャレンジカップ。

本来ならば、この大会はコパ・アメリカに向けた強化試合にするべきだった。例えば、五輪世代と初めて一緒にプレーすることとなる中島や柴崎がコンビネーションの確認を取る場にすべきだった。

しかし、日本サッカー協会はコパ・アメリカとキリンチャレンジカップは違うチーム編成で挑んだ。

要は、今回の日本代表はコパ・アメリカ初戦で初めての顔ぶれで公式戦に挑んだのだ。

まさに、ぶっつけ本番である。その結果が、初戦のチリ戦0−4の結果につながったと言えるだろう。

これでは南米の人が怒るのも無理はない。コパ・アメリカの認知度向上どころかブランドを汚す行為だ。

では、なぜ日本サッカー協会はキリンチャレンジカップでは別チーム編成にしたのか?

それもやはり利権だろう。五輪世代よりも海外組を呼んだ方が注目度が高い、視聴率が高いからだ。

結局は、こちらもスポンサーなどのことを考えながらのメンバー選考だったのではないか?

そう考えると、日本サッカー協会もCONMEBOL(南米サッカー連盟)も利権を考えて動いていると言えるだろう。

団体を維持するには利益を考えることは大切なことだ。しかし、それが過度になってしまうと時として周りから反感を買うことになる。

近年、2022年ワールドカップ招致を巡りFIFAでの汚職事件なども目立つ。

サッカーは世界的なスポーツでその分、多くのお金も動く。それに惑わされる人がいるのも事実だろう。

今後は、もっとピュアなやりとりを見たいものだ。

そして、コパ・アメリカの招待枠に関しては、批判する・される位ならばもうやめた方が良いと思う。

いずれにせよ、しばらくの間(もしくはずっと)、コパ・アメリカで日本代表を見る機会はないことだろう。

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